「つつゐづつ五つにわれし井戸茶碗とがをばおれが負ひにけらしな」

This is Toyotomi Hideyoshi’s bowl.
The world spreads by knowing history.

豊臣秀吉に辰市城の井戸氏から贈られた李朝初期の茶碗。
秀吉は細川幽斎を招き茶会を催しましたが自慢の井戸茶碗を小姓が粗相して割ってしまいました。
このままでは小姓の手討ちは必至です。機知に富む細川幽斎はとっさに五つに割れた茶碗を見て、

「つつゐづつ五つにわれし井戸茶碗とがをばおれが負ひにけらしな」

と狂歌に詠んで秀吉の機嫌を治し事なきを得たという話です。
伊勢物語にある有名な
「筒井つの 井筒にかけし まろがたけ 過ぎにけらしな 妹見ざるまに」
をかけたものですが、
とっさの間に、さすが戦国武将の中でも歌の名手といわれた幽斎(元総理・細川護熙さんのご先祖)だけのことはありますネ。
そして、それを解した秀吉もなかなかのもの。

そのときの茶碗がこちら。
20130705_325777
~重要文化財井戸茶碗銘 陶製茶碗 銘筒井筒(1口)~
石川県の重要文化財に指定されています。
口径 14.5センチ 高台径 4.7センチ 高さ 7.9センチ

「喜左衛門井戸」(国宝)とともに並び称される井戸の名碗として茶道界で広く知られています。

割れた井戸茶碗は木地呂漆を塗り修繕され、侘びの風情を愛でたのでしょうか、
このような金蒔絵を施していない状態の井戸茶碗に[ 筒井筒 ]の銘がつけられました。

銘は割れ・接ぎというネガティブな状態を一挙におかしみの世界に導いてくれます。
そして歴史を知ることで世界が広がります。


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